クソ判例紹介:橋脚爆破事件

こんにちは、どんぺりーです。もうすぐ10月だってのにクソ暑いですが、いかがお過ごしでしょうか。

さて、暇なのでブログを書きます。本日ご紹介するのはタイトルにある通りクソみたいな判例です。久々に法学部っぽい記事ですね。とはいえお堅く書いても面白くないのでざっくり書きます。大分テキトーになりますので気になった方は自分で詳しく調べてみてください。

 

Ⅰ、概要

最高裁昭和35年2月4日第一小法廷判決刑集14巻1号61頁

山形県某村。ある川に吊るされた橋が腐敗し始めていました。近くの部落は村に架け替えを要求しましたが一向に実現する気配はなく…。そこで部落の道路委員長、「雪で落橋したって装えば補償金出るから橋の架け替えできんじゃん。」と思い立ち橋脚にダイナマイトを仕掛け、橋を爆破しました。何を言っているかわからないと思うが俺にもわからないんだ…。まあもちろん起訴されて裁判になりますよね。

 

Ⅱ、被告側の主張と裁判の過程

さて裁判になってしまい絶体絶命の道路委員長(被告)。そこに現れたのはお口の達者な弁護人。「落橋によって起こるであろう事故を未然に防ぐために爆破したんだから、これは緊急避難だ!」との主張を繰り広げます。

緊急避難とは刑法37条に規定されている、正当防衛の親戚みたいなもの。現在する危難を避けるためにした行為は罰しません!っていう条文です(細かい要件とかは自分で調べて)。つまり本件でいうと「橋を放置してて、もし人が通ったりしてる時に落橋なんかしたら大変でしょ?だからそういった危難を避けるために爆破したの。ぼく悪くない。」ってことです。さすが弁護士、頭がいい。確かに腐ってギシギシいうような橋渡りたくないですもんね。

しかし山形地裁は「橋は重量制限してたし、そもそもダイナマイトで爆破するって、もっと他に選択肢あったやろ。」と緊急避難を否定、懲役刑を言い渡しました。まあ当たり前ですわな。被告人は控訴します。

すると仙台高裁秋田支部は「まあ緊急避難とは言えんけど、完全な悪意があったとは言えんし減軽されるやろ。」と判断、執行猶予つきの有罪判決を出しました。流れ変わったな。

今度は検察側が上告。最高裁は「仙台高裁は何言うとんねん、もう一回やり直せや」と差戻判決をします。最高裁がまともでよかった。

というわけで再び仙台高裁秋田支部での裁判。しかし最高裁に言われて折れるようなあまちゃんではなかった。「危難は現在してるし、橋をぶっ壊したのもやむを得ないやろ。まあ壊し方としてはダイナマイトじゃなくてもよかったやろうけど。」と言って過剰避難(過剰防衛の緊急避難バージョンだと思っていただければOKです。)を認め、執行猶予つきの有罪判決を出しました。ここまで来ると検察vs被告というより、むしろ最高裁vs仙台高裁みたいな感じがしてきますね。検察、怒りの上告。

 

Ⅲ、最高裁の判断

再び登場最高裁。仙台高裁の判断に対し某議員の「違うだろー!!!!!」を彷彿とさせるような判断を下します。

「確かに荷馬車が通るには危ないかもしれんけど、人が通る分には差し支えなかったみたいやし、橋自体重量制限してたんやから、そんな切迫した危険があったわけやないやろ。もし危険が切迫してたとしても通行制限を強化するとか、他の方法があったやろうし、ダイナマイトで爆破してまで防止しなあかん程のもんでもないで。」といったように判断し、過剰避難は成立しないとしました(破棄差戻し)。さすがに高裁の判断には無理があったよう。

 

Ⅳ、最後に

と、こんな感じで最高裁までひたすら争った事例になります。「橋をダイナマイトで爆破」って時点でロックすぎるのに、そのあとの最高裁と仙台高裁のやり合いもあり、かなりおかしな事件になっています。これを緊急避難の要件ごとに考えてみても面白いのですが、ブログとしては面白くなくなるので触れないでおきます。

まあ「法学部って六法とにらめっこしてるだけなんじゃ?」って思われている方もいるかもしれませんが、こういうアホらしい事件について真面目に検討したりもしています(とは言っても刑法は私の専門ではありませんが…)。他にも面白そうな判例はあるのでまた暇なときにでも、今回みたいにゆるーく、超テキトーに書きたいと思いますので、もしよかったら読んでください。

それではここまで読んでいただきありがとうございました。

 

Ⅴ、参考文献

山口厚・佐伯仁志編『刑法判例百選①』第7版, 62頁〔小名木明宏〕(有斐閣、2014年)