著作物の引用について

こんにちは、どんぺりちゃんです。

今回は質問をいただきましたので、著作物の引用について書いていこうと思います。

 

1、著作権法上の「引用」の立ち位置

多くの方は漫画を読んでいて、歌の歌詞が引用されているのを見たことがあると思います。例えば週間少年ジャンプで連載されていた「SKET DANCE」では、主人公たちがバンドを組んで曲を披露する場面で、the pillowsのfunny bunnyの歌詞が引用されていました。ジャンプコミックスを見てみると、その場面のコマ外にはJASRACに使用料を払った旨の記載があります。また、ジャンプ冊子においては「JASRAC申請中」などといったことが記されていたりします。このように、自分の著作物に他人の著作物を引用する際には使用料を支払う(許可をもらう)ことが必要になります。ですが、著作権法は一定の場合には著作権の効力を制限するよ!といった旨の内容を規定しており、著作権法32条には引用についての規定がされています。つまり「著作権法32条の内容に沿う方法での引用は著作権の侵害にはならない」ということです。以下、細かく32条を見て行きます。

 

2、著作権法32条の趣旨

とりあえずは条文を読んでみましょう。

 

著作権法32条 第1項

公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。

(第2項は省略)

 

まあ条文を読んでもらえばそのまんまなんですが、「公表された著作物」を「公正な慣行に合致する」「報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内」で「引用」することは著作権の侵害にならない、と著作権法は規定しています。

「公正な慣行」については知財高裁の判決で、他人の著作物の「利用の目的のほか、その方法や態様、利用される著作物の種類や性質、当該著作物の著作権者に及ぼす影響の有無・程度などが総合考慮されなければならない」と述べられています(知財高判平成22年10月13日判時2092号135頁)。また、「引用の目的上正当な範囲内であること」についても同じ判決で「社会通念に照らして合理的な範囲内のもの」と言い換えられています。

法律に慣れていない人からすると何を言ってんだって感じだと思いますが、かなり砕いて言えば「既に世の中に出てる著作物を、その利用とか諸々を考えた上で、かつ報道とか批評とか研究とか、常識的に考えて合理的なものへの引用は著作権の侵害にならないよ!」ってことです。あんまり砕けてないな…

 

3、パロディ・モンタージュ事件判決

引用について、最高裁が過去に重要な判決を下していますので見ておきましょう。パロディ・モンタージュ事件の判決(最判昭和55年3月28日民集34巻3号244頁)において最高裁は、「引用にあたるというためには、」「引用して利用する側の著作物と、引用されて利用される側の著作物とを明瞭に区別して認識することができ、かつ、」「前者が主、後者が従の関係があると認められる場合でなければならない」と判示しました。

この事件は旧法下でのものですが、現行法下でも、この「明瞭区別性」「主従関係」を考慮した判決がされています。

したがって、2で見た32条の要件に加え、この2要件も考慮する必要があるでしょう。

 

4、その他の著作権制限規定

著作権が制限される要件として、「報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内」であるものへの引用でなければならないことが規定されていますが、他の著作権制限規定に係る著作権の利用であれば、同様に著作権侵害にはなりません。

例としては、私的利用目的での複製や、教育目的での利用などがあります。これらについての詳細は省略させていただきます。そろそろ眠いんで。

 

5、最後に

まあ皆さんお察しだと思いますが、著作権法って面倒なんですよね。著作権法に関わらず法律全体的にそうなんですけど。ですが前回のJASRACの記事でも少し言及したように、著作者の権利も大事なんです。著作者の権利が守られないと、著作物を生み出す動機が失われて文化が衰退してしまいかねません。なのでそのバランスを考えた結果、こんなことになっています。

ぼく個人の意見としては「文化の発展」が目的なんだからもうちょっと規制を緩くしてもいいんじゃないかと思いますが、多分日本はそういう動きが出てくるとしてもかなり後になると思うんで、あまり期待はしない方がいいかもね。頑張って未来の文化庁官房著作権課のみんな。

 

6、参考文献

茶園成樹編「著作権法〔第2版〕」(2016年、有斐閣