いわゆる「スクショ違法化」とは

こんにちは、推しの野球選手は大山悠輔、望月惇志、才木浩人のどんぺりーです。阪神絶対優勝しような。

さて、本日は先日大きな話題を呼んだ違法ダウンロード対象範囲拡大(ネットでは「スクショ違法化」として話題になっていました。)について、どのような内容なのかをごくごく簡単にご紹介していきたいと思います。簡単に、なので一部厳密性を欠く記述もあるかもしれません。ご了承ください。

 

1、そもそも現行法はどうなってんの?

著作権法は「著作物」を作った「著作者」に、その著作物をコントロールできる権利である「著作権」を与えることを定めた法律で、著作権者は他者が勝手に著作物をコピーしたり、改変したりする行為に対し差止請求や損害賠償請求を行うことができます。しかし、なんでもかんでも著作権を行使できるわけではなく、一定の要件の下では著作権が制限(=行使できない)されます。その代表的なものが30条1項の「私的使用のための複製」です。

 

第三十条 著作権の目的となつている著作物…は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。

 

これは個人的又は家庭内という閉鎖的な領域における複製(=著作権を侵害する行為)は著作権者への経済的打撃が少なく、侵害が軽微であることから「個人的に使う目的で複製(コピー、ダウンロード)するのはOK」と認めたものです。

しかし、技術の発達により私的使用目的の複製であっても、著作権者に与える経済的打撃・侵害の程度が「軽微」とは言えない態様のものが出てきました。その一つが「違法にアップロードされた映画や音楽をダウンロードする行為」です。このダウンロード行為が「私的使用のための複製」と認められてしまうと、映画や音楽を作った著作権者は自らの著作物から利益を得られず、著作権法が第1条で法目的として掲げる「文化の発展」が実現されなくなります。そこで平成21年改正で、違法にアップロードされた「デジタル方式の録音・録画」について「その事実を知っている場合」に、その著作物をダウンロードする行為には30条を適用しない(=差止請求や損害賠償請求の対象とする)こととし、さらに平成24年改正では、被害の深刻化を踏まえこれに刑事罰を設けました。

長々と話しましたが、現行著作権法では、違法にアップロードされた「デジタル方式の録音・録画」について「その事実を知っている場合」に、その著作物をダウンロードする行為は、刑事罰著作権法119条3項。懲役2年以下、罰金200万円以下、またはこれを併科。)の対象になるのです。映画を見に行った際に「映画泥棒」のCMが流れますが、そのCMの最後の方に「違法にアップロードされた映画を違法と知ってダウンロードする行為も犯罪です」と流れますよね。あれがこれです。

 

2、なんで拡大するの?

ではなぜ今回「スクショ違法化」、つまり静止画等々も違法にしようとしているのでしょうか。

文化審議会著作権分科会法制・基本問題小委員会の資料によると、「海賊版による被害が顕著であった音楽・映像の分野に加え、漫画等に関して、巨大海賊版サイトに多くのインターネットユーザーのアクセスが集中し、順調に拡大しつつあった電子コミック市場の売上げが激減するなど、権利者の利益が著しく損なわれる事態となって」おり、こうした状況への対策が求められたことが検討の経緯として述べられています。

現行法では119条3項の範囲が「デジタル方式の録音・録画」、つまり音楽や映画、アニメ、ゲームなどに限られており、漫画や雑誌、絵画、写真、プログラム等にはこの規定が適用されません。しかし、現状は上述の通り、この規定が適用されない著作物についても被害が深刻化しており、看過できない状態になっています。そこで、この「デジタル方式の録音・録画」という限定を外し、対象範囲を拡大すべきではないかという議論が始まったわけです。

 

補論、スクショの法的位置

文化審議会著作権分科会法制・基本問題小委員会資料は、「ダウンロード」を「デジタル方式の複製」としています。スクショは画面を写真データとして固定し、再製する「デジタル方式の複製」と言え、したがってここで問題となっている「ダウンロード違法化」と関わってきます。

 

3、改正されたらどう変わんの?

(1)対象著作物の範囲

文化審議会著作権分科会法制・基本問題小委員会資料は「録音・録画と同様の要件の下、対象範囲を著作物全般に拡大(対象行為を複製全般に拡大)していくことが有力な選択肢となるものと考えられる。」としていることから、対象著作物はあらゆる著作物となるでしょう。

ただ、現行の「有償著作物等」の要件は維持されそうです(「有償」の定義も曖昧ですが…)。

(2)要件

こちらも「録音・録画と同様の要件」とするのが有力とされていますが、文化審議会著作権分科会法制・基本問題小委員会では他にも「海賊版サイトやP2PからのDLに限定する」、「権利者の利益を不当に害しない場合を違法化の対象から除外する」、「反復継続して行う場合に限定する」などの案が出されています。これら複数案を参考に、今後文化庁で詳細な要件が決められるとのこと。つまりは「まだ詳細には決まってへん」ってことです。

(3)結局

結局は「あらゆる(有償の)著作物について、違法にアップロードされたものを、『違法にアップロードされたもの』と知ってダウンロード(スクショやコピペも含む)する行為を刑事罰の対象にします。でもまだ『違法にアップロードされたものと知って』の部分はより限定される(=国民の自由の範囲が拡大される)かもしれません」ってことになります。

 

4、最後に

(1)個人的な意見

ぼくはこの対象著作物の範囲拡大には賛成です。やはり著作権者への損害、多くの著作物が生み出されることによる文化の発展は軽視されるべきでないでしょう。

ただ、要件の部分についてはもう少し練るべきではないかと思います。デジタル方式の録音・録画と同様の要件、つまり「違法にアップロードされたものと知ってダウンロードする行為」を漫画や美術の著作物にも適用してしまった場合、SNSやブログの画面をスクショしたり、著作権者に与える経済的打撃が僅かであると思われる目的のためのダウンロード(コラ画像含む)も刑事罰の対象となってしまい、インターネットユーザーの活動を萎縮させてしまいかねません。上述の30条1項の趣旨と比較してみても不均衡ですし。したがって、DLの目的や量(程度)、生じる損害の程度、常習性など、様々な事情を考慮して、権利者に与える影響が看過できないものに限って処罰の対象とすることが望ましいのではないかと思います。

(2)結語

この改正に向けた動きは海賊版サイトなどの台頭により始まったものです。言ってみればユーザーが海賊版サイトを訪問し、甘い汁を吸ったがゆえに自らの首を絞めたようなものです。これを機に一度「知的財産に対するモラル」を見直してみるといいのではないでしょうか。

まあ軽微な利用とかパロディ使用とかは許してやったらどうやって思うんですけど。

 

*参考

文化審議会著作権分科会法制・基本問題小委員会報告書(案)

 

以上