アイドルを考察する 第1章・AKB48という革命

お久しぶりです。藤沢”rotter”水族館です。さて、やるやると言っておきながらやっておりませんでした「アイドル考察ブログ」を始めていきたいと思います。今回は記念すべき第1章です。それでは早速考察、始めましょう。

 

Ⅰ、AKB48以前のアイドル

 日本にはAKB48以前にもアイドルは多くいました。平成ならばモーニング娘。、昭和であれば松田聖子中森明菜山口百恵キャンディーズおニャン子クラブなど。ちなみに余談ですが、さやわか氏や中森明夫氏は日本のアイドルの原点を南沙織に見出しています。しかし10代でデビューし、注目を集めた美空ひばりはアイドルと言えなかったのでしょうか?と私は考えます。

そもそもアイドルってなんだ?って話なんですが、それはまたしばらく後のテーマにして、AKB48以前のアイドルを見ていくと

・ソロアイドルが多い

・グループ内ではみんな同線上

ということが言えます。だいたい今「アイドル」っていうとグループアイドルがほとんどを占めています。寺嶋由芙や吉田凜音などソロで活動している方もいますが、数は少ないでしょう。また今回の記事ではこちらを重視したいのですが、「グループ内ではみんな同線上」、つまり「争わない」のです。人気の程度に差はあれど、みんな仲良しということです。ちょうど明治憲法下の内閣総理大臣が「同輩中の首席」と呼ばれたように。

 

Ⅱ、AKB48の登場

 AKB48秋葉原に2000年代に誕生しました。前田敦子高橋みなみといったメンバーを軸に人気を集め、2007年には紅白歌合戦に初出場を果たしています。AKB48の細かい歴史はそういったものを特集した書籍や、上述さやわか氏の「僕たちとアイドルの時代」を読んでいただくとして、AKB48が起こした「革命」とは何か、それを考察していきます。

 

Ⅲ、AKB48は戦う

 AKB48は非常に多くのイベントを開催します。毎日のように各地の劇場で公演が行われるほか、握手会やじゃんけん大会など。その中でも一番話題を集めるのが毎年行われる「AKB総選挙」です。説明はもう不要だと思いますが、CD等に付属する投票券を使用し、「推し」のメンバーに投票する。そして多くの票を集めたメンバーが次シングルの選抜メンバーになる。といったものです。過去には前田敦子大島優子篠田麻里子板野友美渡辺麻友小嶋陽菜高橋みなみといった上位7人が「神セブン」と呼ばれたり、順位発表の様子がテレビで生中継されたりと、非常に注目されました。今回の総選挙でも、まだ速報の段階ですが、NGT48の高倉萌香や本間日陽が上位に食い込み、1位には48ヲタの方々以外にはほとんど知られていないであろう、NGT48の荻野由佳が飛び込んでくるなど、多くの話題を呼んでいます。このAKB総選挙におけるいわゆる「AKB商法」は次回取り上げるとして、今回焦点を当てるのはこの「総選挙」というイベントそのものです。

 これまでのアイドルは、先ほども述べたように全メンバーが同線上にいました。(もちろん現在のアイドルもこちらの方が主です。)しかしAKB48はグループ内で戦います。どれだけ多くの票を獲得できるか、どれだけ順位を上げて世間からの注目を得られるか。AKB48はグループアイドルなのに、その中での優劣を決める。それは完全に新しいアイドルの姿でした。

 プロデューサーの秋元康氏は、こうした「戦うアイドル」に関して過去の取材にこう答えています。

「彼女たちは芸能界を目指すオーディションを受けた時から、既に競争が始まっている。だからAKB48の中で競争をしないということは、芸能界全体の中でも競争できないことになってしまう。」

(http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1110/28/news022.html)

つまりAKB48は芸能界の縮図。そして総選挙は芸能界で生き残るための前哨戦、予行演習のようなものだということです。AKB総選挙は時に波紋を呼び、批判の対象になります。しかしメンバーは総選挙のため、票数のため、そして推してくれるファンのため、必死に努力をする。その姿にファンは心を打たれる。そしてそのプロセスが新たなファンを生む。秋元氏はそうした方程式を予測し、またメンバーが芸能界で生き残れるための方策を練って、この総選挙を実施したのだと考えれば、彼は本物の「天才」でしょう。

 

Ⅳ、AKB48の功罪

 AKB48の成功を受けて、日本中がAKB48に注目したと同時に、それまで息を潜めていた多くのアイドルもまた成功するに至りました。ももいろクローバーZやアイドリング、Berryz工房などの人気グループも、AKB48が成功していなければ成功していたかどうか分かりません。AKB48は多くのアイドル、そして多くのアイドルを目指す少女たちの目標となる、そんな存在にもなったのです。(実際に「バンドじゃないもん!」の望月みゆなど、AKBグループを目指してアイドルになった方もいらっしゃいます。)

 しかしAKB48の全てが上手くいったわけではありません。AKB48はその名を広め「AKB48」としてのブランドを大成させましたが、メンバー一人一人を育てきれませんでした。かつて幾度も選抜入りを果たし、総選挙1位にも輝いた前田敦子でさえ、AKB48を卒業してからは芸能界で輝かしい活動をできていません。つまり「グループ」として売ることには成功したものの、「メンバー個人」を売ることには失敗した(し続けている、といった方が正しいかもしれません)ということです。(中にはメンバーの一部だけを売ることに成功したアイドルもいますが、それは別の話なので第4章ででも説明します。)

 

Ⅴ、「少女たちよ」

 まだまだ話したいことはありますが、長くなってダラけてしまうのも避けたいので、一旦ここまでにして、次回第2章にて今回すっ飛ばした「AKB商法」を中心にアイドルを考察していきたいと思います。

 最後に秋元康氏がAKB48に、そしてAKB48が全てのアイドルと、アイドルを目指す少女に捧げた曲「少女たちよ」の一節を引用して、第1章を終わらせていただきます。

 

「ステージの片隅でもがき続ける悔しさや空しさも 青春の時

 少女たちよ もうすぐ夜明けが来る

 夢の未来はこれから始まる

 少女たちよ 何も諦めるな

 悲しいことなんか全て捨てて 全力で走るんだ」

 

2017年6月3日

藤沢”rotter”水族館

【予告】「アイドル」の考察

こんにちは、体内にて花粉症のため避難勧告が出ております藤沢"rotter"水族館です。

さて、本日は今後知的財産系の記事と同時並行で書いていきたく思っております、「アイドル考察ブログ」の予告をしたいと思います。

世は「アイドル戦国時代」とも言われ、数多くのアイドルが乱立し、ファンを集めるため様々な戦略が練られています。そうした今日のアイドルにおける「成功」の秘訣やその戦略、そしてアイドルにスポットライトを「当てる側」であるクリエイターやファンにも目を向け、様々な視点から現在の「アイドル」を考察していきます!

 

以下特集順予定です

第1章:AKBという革命

第2章:AKB商法の狙いとその影響

第3章:アイドルの続発とそこに見る差別化〜BiS、バンドじゃないもん!、μ's

第4章:地下アイドルの星〜なぜでんぱ組.incは成功したか

第5章:ご当地アイドルを考察する

第6章:「アイドル」とは何か〜どこまでがアイドル?

第7章:「みさこ」という可能性〜神聖かまってちゃんからバンドじゃないもん!へ

第8章:前山田健一畑亜貴の魅力とは

第9章:ガチ恋オタクの存在意義

 

楽しみにお待ちください!

コスプレと著作権法

こんにちは、藤沢"rotter"水族館です。

さて今日は知的財産談義第一弾として「コスプレ」と著作権法の関係を考えてみたいと思います。

コスプレといえば、毎年二回開催されるコミケがその代表でしょう。数多くのコスプレイヤーが参加し、クオリティの高いものがTwitterで拡散されたり、中にはテレビ界へと進出する方々も出てくるまで大衆に受け入れられるようになった文化であります。コミケに限らず、例えば来週3/19に大阪・日本橋で行われるストリートフェスタにも多くのコスプレイヤーの参加が予想されます。

そんなコスプレですが、モデルとなるキャラクターのコスチューム製作やそれを身につけることについて、そのモデルとなる著作物の著作者は著作権を行使することができるのでしょうか。

 

まず、著作権に規定されている権利内容について少し触れておきましょう。著作権には著作権者(厳密にはノットイコールなのですが著作者だと思ってもらえればいいです)に著作物をコピーさせたり(複製権)、著作物を公衆に提供したり(譲渡権)、レンタルしたり(貸与権)と、この他にも様々な権利が設けられています。そうした権利の一つに「翻案権」というものがあります。ちょっと条文をみてみましょう。

 

著作権法27条

著作者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利を有する。

 

法律を見慣れていない人からすると「こいつは何を言っているんだ」となるかもしれませんね…、噛み砕いて言うと「著作物を翻訳(言語)、編曲(音楽)、変形、脚色(手を加えたり誇張したり)、映画化するとか、この他翻案(大筋を真似て細かいところを作り変える)できるのは著作権者だけだよ!」ってことです。わかりやすいですね。この条文は実際に列挙されているような編曲や映画化の時はもちろんなのですが、他にも例えば同人誌を作るときなんかにも気をつけなければならないものです(変形や脚色に当たる)。コスプレはこの「変形」や「脚色」に当たる可能性があります。また、少し話がそれるかもしれませんが、同人誌のような「二次的著作物」と言われるものは著作権法28条で「原著作物の著作者は(略)当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有する」と規定されています。つまり二次的著作物の著作者が有する権利は、そのモデルとなった著作物の著作者にも帰属するわけです。先ほど「話がそれるかも」と言いましたが、この条文もコスプレを二次的著作物と解釈できれば見逃せないものとなるでしょう。

それからもう一つ、重要な規定があります。著作権法には上に示した財産的権利の他に、著作者人格権という権利が設けられています。著作権は知的財産権なので権利の譲渡や移転(つまり著作者≠著作権者となること)が可能です。しかし、著作者にのみ与えられ、譲渡や移転が不可能な権利として著作者人格権というものが存在するのです。その一つに「同一性保持権」があります。条文をみてみましょう。

 

著作権法20条

著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有しその意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする。(後略)

 

「?」と思われたかもしれませんね、これも簡単にいうと「著作者は意に反して自分の著作物の内容を題号(タイトル)含め他人に変えられない」ってことです。つまり平面で描かれたキャラクターのコスチュームを立体的なものにすると、著作物の内容を改変したことになるかもしれず、同一性保持権の侵害になる可能性があります。

 

ここまでの話をまとめると

コスプレが侵害するかもしれない権利

・翻案権

・同一性保持権

(・複製権(上では触れていませんが…))

となりますね。ではコスプレイヤーに自由はないのか、今度はそういった面から著作権を考察していきましょう。

 

著作権には制限規定というものが設けられています。これは著作者による権利の濫用を防ぐために規定されたものとみていいでしょう。例えば試験や教育のために著作物を利用しても、著作権法違反にはならないといったものです。そうした制限規定の中に次のようなものがあります。

 

著作権法38条第1項

公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けない場合には、公に上演し、演奏し、上映し、又は口述することができる。

 

無料であれば、著作権上保護される演劇や舞踏の上演、音楽の演奏、映画の上映などが自由にできるというわけです。「あっ、ならコスプレも大丈夫っすね」と思われたそこのあなた、ちょっと待ってください。ここで問題となるのは「コスプレをする行為がこの法律に適用されるのか」ということです。後述する著作物規定では、列挙事由以外にも著作物性が認められますが、不正競争防止法の不正競争規定は列挙事由以外、不正競争性は認められません。権利を認める際には寛容に、取り締まる際には厳格に、ということなのでは?と考えれば、適用されると考えられますが、こればかりは専門家の方に判断をお任せするほかありません。頑張ってえらいひと。

 

さてここまで、コスプレと著作権法の関わりについて述べてきました。最後にもう一つだけ、大きな話をしたいと思います。それは「そもそもキャラクターって著作物なの?」ってことです。「は?」って思われた方もいるでしょうが、これに関しては私も最初「は?」って思いました。そもそも著作権法は「著作物」を保護するもので、著作物じゃなかったら保護する必要はないわけです。では「著作物」とは何なのか、条文を見てみましょう。

 

著作権法第2条第1項第1号

著作物  思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。

 

これが著作権法で保護される著作物の定義です。しかし先ほど少し述べた通り、ここに列挙されていないものでも保護される可能性があります。では「キャラクター」はどうなのでしょうか。

判例を見ていくと、これに関連した事件があります。ポパイネクタイ事件として知られる平成9年7月17日最高裁判決の判決要旨に

漫画において一定の名称、容貌、役割等の特徴を有するものとして反復して描かれている登場人物のいわゆるキャラクターは、著作物に当たらない。

とあります。つまり「漫画のキャラクターは著作物ではない」ということです。

ということはコスプレは著作権侵害にならない…?という可能性もそれなりに存在するということです。

だったら無条件にコスプレをして大丈夫かというとそういうわけでもなくて、ディズニーやポケモン等は商標登録がされており、商標法という別の法律で保護されているためそちらへの留意も必要になります。

 

ここまで長々と著作権とコスプレの関係について述べてきましたが、結論「ここまで大した問題になっていない」ことや、「権利者側も寛容な方が多い」という点から考えて、そこまで超深刻に考えなくてもいいのかな、と思います。ただ先日、任天堂が株式会社マリカーを訴えた際、コスチュームにおける著作権侵害も訴訟内容の一つとしていた以上、営利目的でコスプレを行う(例えばコスプレ写真集を販売するとか)場合は、権利者側に許諾をもらうなどする必要があるのではないかと思います。

 

それでは今回はこの辺で失礼します。読んでいただきありがとうございました。

知的財産管理技能検定受検譚

今日3月12日、第26回知的財産管理技能検定が行われた。小学校だか中学校の頃からか親に「何かしら資格をとっておけ」と言われ、「教職でも取るか」と思い大学に入ったものの、ガイダンスで示された忙しさに「これは無理だ」と思い諦めた数ヶ月後、偶然この国家試験があることを書店で知った。

創作活動をしていたことから、高校生の頃より著作権には興味があった。大学に入って最初のセメスターに知的財産の授業を取った(成績に関しては触れないこととしておく)し、その次のセメスターでは著作権に関わる実際の判例を見て議論を行うセミナーにも参加した。そして何より、将来志望している職に就くために、知的財産を学んでおくことはかなり有用だった。そこで、書店で「知的財産管理技能検定」の文字列を目にした瞬間に「とりあえず直近の試験を受けてみるか」と考えついたのであった。

そもそも知的財産と一言に言ってもいろいろある。特許法、意匠法、商標法、著作権法不正競争防止法。本試験ではこれに加え、種苗法弁理士法独占禁止法等の知識が問われる。それぞれの法の規定についてはまた後日、このブログで実際の事案考察と共に記すことにしたい。

知的財産管理技能検定にはマークシート式の学科試験と記述式の実技試験があり、両方の合格で「知的財産管理技能士」の資格を得られる。実務経験がない限り、3級からの受検になる。3級の出題形式は学科試験は法規定、実技試験は事案発生時の対応法や保護期間規定について問われるものとなっており、難易度はそれほど高くない。参考書として、公式の対策本と公式問題集があるが、私は有斐閣「知的財産法入門」「知的財産関係条約」(どちらも茶園成樹編)と知的財産管理技能検定のHPにアップされている3回分の過去問で対策を行った。O阪大学知的財産センターの犬である。種苗法弁理士法及び独占禁止法については頻出の条文さえ押さえておけば得点は難しくない。そんなこんなで準備を万全にし、試験地へ赴いたのであった。

試験のでき具合に関しては聞かないでください。結果に関してはTwitterの方で後日お伝えするとして、感想としては「意外と緊張しちゃった〜☆」ってのと「おっちゃんおばちゃんが多かった」といったところでしょうか。ただやってきただけの力は出せたと思うし(特に学科試験)、あとは本当に結果を待つのみといったところです。

私が法学部だから、というのももちろんあるだろうが、知的財産は少し「異質な」法律であり、それゆえ面白い点、厄介な点、様々にある。今後当ブログでは、最近頻繁に騒がれている知的財産絡みの事案の考察や、社会学的見地から分析した日本のオタク事情等といったことを中心に書いていきたいと思う(あと書評とかもやるかも)。歯磨きしながらでも読んでいただければ幸いです。(本当にお願いします)

そして少しでも、知的財産等に興味を持っていただければ嬉しく思います。